土耕菌ナルナルのホームページ

第5章 植物と珪酸



植物に必要な栄養素

ケイ酸はイネ科の植物にとって大切な肥料要素です。
植物にとって大切な要素として、窒素、リン酸、カリがあります。これは三大元素と呼ばれ、このうちどれか一つがかけても植物は正常に生育しません。また、下記にあげた元素も植物とってなくてはならないものですが、植物によってその要求量は大きく異なります。

表:4-1 植物の生育になくてはならない必須元素
多量必須元素 微量必須元素
炭素(C) 鉄(Fe)
水素(H) マンガン(Mn)
酸素(O) 銅(Cu)
窒素(N) 亜鉛(Zn)
イオウ(S) モリブデン(Mo)
リン(P) ホウ素(B)
カリウム(K) 塩素(Cl)
カルシウム(Ca)
マグネシウム(Mg)
9元素 7元素

 ケイ酸は必ずしも全ての植物が必要としているわけではなく、イネ科の植物などがこれを必要とします。が、ケイ酸の施用によって、ほとんどの植物の生育に好影響を与えるのではないかと考えられています。

 なぜ、ここでケイ酸について取り上げるかというと植物の進化に深い関与を示しているのが、ケイ素という物質だと考えるからです。

クラークさんという人《(アメリカの地球化学者フランク・クラーク(Frank Wigglesworth Clarke, 1847-1931)》は地表部付近から、海水面下10マイルまでの元素の割合を、岩石圏(重量パーセント93.06%)、水圏(6.91%)、気圏(0.03%)の3つの領域の値を合計することで求めました。

1番目から8番目までのクラーク数を以下に表にしました。

グラフ:4-1 クラーク数(数値は%)

 これを見ると、地表の元素の中で最も多いのが酸素に次いでケイ素であることがわかります。そして、アルミニウム、鉄とつづいています。誰でも良く知るケイ素の化合物は鉱石の雲母です。雲母の中のキラキラしたガラス状の物質がケイ素の結晶です。

(ケイ素は元素としては発見の遅れた物質です。その理由は単体では地球上に存在せず、他の物質と結合していたためです。よくあるのは酸素と結合した「ケイ酸」。)

 ケイ素はガラスの原料でもあり、硬い結晶を作ります。また、光を透す鉱物でもあります。角度によって光を反射します。光合成能力を得た生物にとって、光に係る物質は進化の過程で多くの影響を与えたと考えられます。

 人間から見たら、砂の中に太陽光を浴びて光るケイ酸の粒は小さな輝きでしか過ぎませんが、小さな小さな微生物から見たら巨大なシャンデリアとして写ったことでしょう。(目があれば。)

生物の進化とケイ酸

 ここで問いたいのは、生物の進化の過程におけるケイ酸の役割についてです。酸素については動物も植物もこれを使わなくては生命を維持することはできませんのでその必要性についてはいうまでもありません。
 生命は水中で生まれ、地上へと進出しました。原始的な初期の生物は地球上に大量に存在するケイ酸を利用したことは充分に考えられます。

 その後、生物のある種は動物へと進化し、その骨格はカルシウムで作られます。一方植物は、炭素の化合物であるリグニン、セルロースにより骨格を形成しますが、光合成に必要な葉緑素にとってガラス質であるケイ素が重要な役割を果たします。又、ケイ素は単独では存在できず、必ず化合物として存在しています。化合物を結合しているものは、電気的な、イオンの働きによるものです。イオンによる電子的な結合は、他の電子的な物質の登場により容易に化合物の姿を変えることになります。ケイ素は、おそらく生物の進化によって様々な利用がされてきたことでしょう。

鉄の体の生き物

 生物がいろいろな物質を用いて体を構築する例として、面白い発見がなされています。なんと、鉄の衣を持つ足を持った貝が発見されたのです。この貝は、インド洋の水深2,422mの熱水噴出域にて採集され、ウロコフネタマガイ 英名:Scaly-foot gastropod, Armored gastropodと名づけられました。巻き貝は5センチほどの大きさで、うろこのある足は、ヒラヒラした鉄飾りに覆われています。この貝の標本は「新江ノ島水族館」に展示されています。

 生物は、身近なものから利用します。移動しなくても採れるものが最も楽なのです。鉄の鎧の貝の生息域は熱水噴出域の周り約2mの範囲に限られ、5m先では生息できないそうです。
 ケイ素は地球上に豊富にあり、硬いという特性を持ちます。
 動物がカルシウムで骨を作ったように、植物はケイ素で骨格を作ったと考えられます。

ケイ酸の作物育成効果

 ケイ酸と作物栽培の関係については多くの書物や研究が発表されていますので、ここでは、ごく簡単に紹介だけさせていただきます。

ケイ素による作物病害の抑制と作用
 ケイ素は岩石,土壌中に多量に存在しており,農業場面で多量に施用しても環境に負荷を与えることがない。環境保全型農業においては,病害による被害を経済的許容水準以下に抑制することを目的に,薬剤の使用を抑制し,他の耕種的,生物的,物理的な防除方法を組み合わせた総合的な防除対策が重要とされている。ケイ索の施用もそれらの中の一つの技術として,イネを始め他の作物においてもいっそう重要視されるであろう。そのためにも,病害抑制効果の認められる病害とその抑制程度を把握し,有効な資材の検索と具体的な施用方法を検討することが必要であろう。また,ケイ素の病害抑制機作を究明することは,学術的に興味深いだけでなく,効果的なケイ素施用による病害抑制技術の開発や普及にもつながるであろう。
     「ケイ酸と作物生産」、前川(兵庫県立中央農業技術センター)ら、112、2002

ケイ酸の役割と効果

 イ) 合成能力の向上
 ロ) 根の酸化力の向上
 ハ)病害虫に対する耐性の向上
 ニ)耐倒伏性の向上

 
作物 病名
イネ いもち病、紋枯病、ごま葉枯病、小粒菌核病、葉鞘褐変病
コムギ うどんこ病
オオムギ うどんこ病
ブドウ うどんこ病
キュウリ うどんこ病、つる割病、褐斑病、根腐病
マスクメロン うどんこ病
ペポカボチャ うどんこ病
イチゴ うどんこ病
バラ うどんこ病
表:4-3 

 植物栽培とケイ酸に関しての研究では、日本は先進国ということです。しかし、まだまだ不明なことが多く生物との進化の過程での係わりについても解明されていません。
 しかし、この研究から新しい事実が発見され、日本の農業ひいては世界の農業の発展する日が来ることを願ってやみません。


野菜、果実を甘くするケイ酸
 
 ケイ酸を含んだ葉は、病原菌が進入しようとするとその病原菌に対する防護機能を働かせます。また、ケイ酸は、肥料成分の窒素やリン酸、カリウムの植物体への吸収量を調整する機能もあることがわかっています。
 この肥料成分の調整機能によって、野菜のエグミの元である過剰な窒素を抑制し、まろやかな味わいの野菜を作ります。
 完熟期の果実、野菜についても糖度があがる事が確認されています。これは光合成能力の向上による糖分の増加と関係がありそうです。

光合成を促進するケイ酸レンズ

 次の写真は乾燥した稲藁の表面の拡大写真です。 筋状のものは維管束(いかんそく)と呼ばれるもので、光合成で得た養分を根に送るパイプと、根からの水分を葉に送るパイプなどから出来ています。


写真:4-1 稲藁の50倍拡大写真


写真:4-2 稲藁の200倍拡大写真


 下の写真は、さらに拡大した写真です。白く光っているのがケイ酸質の物質であると思われます。維管束の周囲や表面を覆うように蓄積しています。
 ケイ酸の集積した茎はガラス質の堅固な構造となります。
 この写真で見ると稲の茎は、ケイ酸で覆われた繊維束がまるで鉄筋のようで、さらに、維管束と維管束の間をケイ酸の壁で補強しているようにも見えます。
 まるで住宅建築の2×2(ツーバイツー)工法のようです。耐倒伏性の向上機能は、この構造によるものと考えられます。
 ケイ酸で覆われた茎や葉は表面が硬いため虫の害をうけにくくなることが理論的にわかります。


イラスト:4-1 ケイ素のレンズ効果 ケイ化細胞によるシリカレンズ効果のイメージ図

 このイラストは、ケイ素がレンズの働きを兼ねる時のイメージ図です。水色の玉で表現したのがケイ素(ケイ酸)の粒(ケイ化細胞・実際の形とは異なります。あくまでイメージとしてお考えください。)です。
 
【実際の葉では、葉の細胞では太陽光が弱い時にシリカレンズを働かせ、太陽光が強すぎる場合は葉が焦げてしまうので、このレンズを隠すようにします。】
 
ケイ酸の粒が、光を茎葉の中まで届ける事が出来るのでより多くの葉緑体に光が届くことになります。光合成能力はAの平面で光を受ける状態に対し、Bの立体状に光を受けることで光合成力は飛躍的に増えます。
 ケイ酸の集積したレンズは、人工的に作られるものではないので形は不規則だと考えられます。よって光の拡散も不規則なものであることが考えられますが、ケイ酸の粒が重なりあい、より奥の葉緑体にまで光が届くことを可能としています。
 古代の稲栽培遺跡から発見されるプラントオパールと呼ばれるシリカの粒がこのレンズに相当するのかも知れません。

 植物は光合成能力が増えると植物体全体に甘みが増します。ナゼ、ケイ酸で甘みが増すのかという合理的な答えの一つがここにありました。

土耕菌ナルナルにはケイ酸も多量に含まれています。含まれるケイ酸のほとんどは不溶性で水に溶けて流れることがなく、科学変化によって他の化合物とともに微生物が利用し、根に吸収されます。