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ナルナル的菌活書評 Tweet


ブログ『かもしてパッパラなーるなる』に掲載している ≪ナルナル的菌活書評≫をまとめてあります。

 ナルナルを購入されたお客様様には、適時A4サイズにプリントしてお渡ししていますが、PDFでもダウンロードできます。PDFでは、書評の1号から最新号まで掲載されておりますので、ダウンロード後に必要なページをプリントアウトしてご覧ください。(PDFのサイズはおおむね1M未満となっています。)

 書評1号から最新号一括ダウンロード クリック→  syo1-6.pdf へのリンク

下記の表の 最初の2行目の日時とタイトルはブログリンク、掲載日となっております。クリックするとブログの記事に行けます。写真の右の記事は、ブログからの一部抜粋になりますので全文を掲載しているわけではありません。なので是非、ブログもご覧ください。書評以外の記事も掲載されております。このスタイルについてはまだ試行中です。



『 家は生態系―あなたは20万種の生き物と暮らしている 』

2023年03月20日13:57 『ナルナル的菌活書評』始めます。 書評1号
syo1.pdf へのリンク
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【はじめに】
ナルナル菌の普及活動では、多くの質問を受けますが、大抵の事はホームページのQ&Aやブログを丹念に読むことで解決されると思います。ナルナル菌の生活や産業への活用はとても大切な事だと考えています。トイレの悪臭が消えたりペットのトイレの悪臭も消えてしまうナルナル菌群の菌活の効果は、農業用としても人間を含めた動植物の健康維持のためにも幅広く使われています。
 しかしながら、菌類の科学的な解明はまだまだ未知の状態です。この宇宙の空間に満ちているといわれているダークマター(正体が不明なので暗黒物質と言われてる)でさえ、その存在は理論的に証明されていても、現代科学では明確に確認できていないのです。重力波さえもそうですね。
私たちは、月までロケットを飛ばして、現代医学の粋を結集してコロナにも素早く対応しワクチンを製造しました。一人に一台スマホが普及して、世界中の人と翻訳機でビデオ通話する事も出来ます。AIによるコンピュータ技術はSF小説まで書くようになり、絵画の名作さえ描いてしまうのです。
この書評は月に1回の発行を予定しています。最先端の科学は、菌の生態についても驚くべきスピードで解明が進んできています。菌活に関する面白い本をご紹介して、人間らしい本来の菌活生活を楽しめるたらと願っています。


【ナルナル的菌活書評の初回は標記の本です】

著者のロブ・ダン教授はアメリカの生態学者で、家という生態系の中の生物について長年にわたって調査研究してきました。本の写真の上部に付箋が付いているのがわかりますか。面白い箇所に貼って言ったら付箋だらけになってしまいました。
特に最終章ではパン職人について調査されています。ぬか漬けの味が家庭ごとに異なるように、パンも職人の手に棲みついている常在菌の働きで味が異なるという事が判明したのです。これは画期的な事で、発酵に携わる人には必読です。
また、この本を一番読んで欲しい人に建築家がいます。密閉された家という空間で起きている新たな恐ろしい事実が明らかになっているからです。健康を願う人の必読書でもあります。

   低 い ⇔ 高 い
 難易度  ★ ★ ☆ ☆ ☆
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書名 家は生態系―あなたは20万種の生き物と暮らしている
著者 ロブ・ダン、 今西康子訳
出版社 白揚社
発行日 2021/2/19
価格 本体 2970円 +税
更新日 2024/2/6

『 雨もキノコも鼻クソも大気微生物の世界
―気候・健康・発酵とバイオエアロゾル 』

2023年03月31日10:17『ナルナル的菌活書評』第2号
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今回ご紹介するのは、空気中にいるけれど、普段は見えない、粉塵について研究している若手学者の世界を飛びまわった発見の旅。目には見えないけれど確実に存在するアレのお事が見えてくる本です。

出版社からのコメントを一部抜粋します。
≪昨今、土壌中や腸内の微生物の大きな働きにスポットがあたり、微生物が注目されています。でも、大気微生物(バイオエアロゾル)の研究は始まったばかりです。
 人は、ひと呼吸で50個、1日で125万個の微生物を吸っていることをご存じですか。
大気中は未知の微生物であふれていることがわかってきましたが、私たちが日々吸いこんでいる微生物の正体は、まだすべてが明らかにされているわけではありません。(略)
 鼻クソや雪の中には空から降ってきた微生物だらけ。(略)能登半島の特産品「いしり」(魚醤)の旨味に、空飛ぶ微生物が関わっている?
 微生物がいなければ雨は降らない。飛行機等を使って独自の微生物採取手法を開発するなど(略)、大気中の微生物の意外な移動の軌跡と、彼らの気候や健康、食べ物、環境などへの影響(良い面・悪い面)を探る異色のサイエンスノンフィクションです。≫

   低 い ⇔ 高 い
 難易度  ★ ★  ☆ ☆
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 新規性  ★ ★ ★ ★ ★

書名 雨もキノコも鼻クソも大気微生物の世界―気候・健康・発酵とバイオエアロゾル
著者 牧 輝弥
出版社 築地書館
発行日 2021/11/26
価格 本体 1,800円+税

更新日 2024/2/6

『きのこの教科書 観察と種同定の入門』

2023年04月28日12:28『ナルナル的菌活書評』第3号

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今回ご紹介する本は身近なキノコについてのお話ですが、私たちの知っているキノコと言えば、松茸やシイタケ、エノキやシメジといったもので、スーパーで売られているものがキノコの姿だと思っている人が殆どでしょう。
キノコは普通、植物だと思われています。それは根っこ(菌糸)を張って子実体(この本の写真にあるような実になって食用になる部分)に出来た胞子を花粉の様に風や虫によって拡散させるからです。
ところが、菌糸のままの姿で土の中や枯れ木に張り付いて一生を過ごすキノコが殆どらしいという事がわかってきました。  実はキノコは菌類だったのです。本書はキノコの生態について解り易く解説しているので、初心者向けの良書であると思います。
名前の付いているキノコは世界で約2万種、日本では約3千種と言われていますが、実は地球上に存在するキノコは百万種以上ではないかともいわれています。ミステリアスなキノコワールドにようこそ。野山のハイキングの途中菌糸を沢山見つけてくださいね。

   低 い ⇔ 高 い
 難易度  ★  ☆ ☆ ☆
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 新規性  ★ ★ ★ ★ 

書名 きのこの教科書 観察と種同定の入門

著者 佐久間 大輔
出版社 山と渓谷社
発行日 2019/9/17
価格 本体 2,200円+税
更新日 2024/2/6

『 ボタニカ 』

2023年05月11日13:53『ナルナル的菌活書評』第4号 牧野富太郎の伝記



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  牧野富太郎の名は、ナルナルの仕事を始めてから知りました。造園学科だった大学の授業で植物標本を作った事はありましたが、いい加減なもので、図鑑と比較して名を書き込むなどという手の込んだことはしませんでした。ですから、植物の名には全く詳しくありません。
数年前に、当社の名前を株式会社ナルナルとしましたが、牧野の誕生日である5月22日に社名変更の登記をしました。牧野は、財布の中身を気にせずに、どんどん研究にのめりこみます。そんな人生に感ずるものがあるのです。
朝ドラが放送されるという事で、牧野の生涯についてほぼ知らない事に気づき伝記を読もうと思いました。いろいろと出版されているようですが、私が選んだのが、この本でした。

※1864年生まれの田中延次郎は日本における最初の近代菌類学書、『日本菌類図説』を執筆しました。変形菌(粘菌)「英名はスライム」の名付け親だとこの本で初めて知りました。それ以前は、動菌(どうきん)、菌虫(きんちゅう)と呼ばれていたそうです。

植物の分類の初歩から、発見し名付ける楽しさを伝えてくれる初心者向けの良書です。

   低 い ⇔ 高 い
 難易度  ★ ☆ ☆ ☆ ☆
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 新規性   ☆ ☆ ☆ ☆

書名 ボタニカ
著者 朝日 まかて
出版社 祥伝社
発行日 2022/1/20
価格 本体1,800円+税

-ついでにご紹介です。-
朝井まかて『ボタニカ』祥伝社、2022年1月。
貧苦にめげず、恋女房を支えに、不屈の魂で知の種(ボタニカ)を究め続けた稀代の植物学者を描く、感動の長編小説。
更新日 2024/2/6

『 三枝教授のすばらしき菌類学教室 』

2023年05月11日13:53『ナルナル的菌活書評』第5号 コミック全3巻



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三枝教授のすばらしき菌類学教室 全3巻

【キノコの不思議が学べるコミック】
三枝教授のモデルとなった学者は東京農業大学の学長の江口文陽教授でキノコの専門家です。この漫画にも沢山のキノコグッズが出てきますが、実物の教授もキノコグッズの収集家として有名です。

 菌類学というと、なにか難しそうな印象を持つ方もいるかもしれませんが、菌類のとっても面白い生態が今や次々と明らかになってきているのです。

そもそも菌類と言っても色々な種類のものがいます。キノコも菌類ですが、その中でも有名なのが、
日本では松茸で、ヨーロッパではトリュフでしょう。高級食材です。最近日本でもトリュフの発見が相次いでいます。これまで、日本にはいないと考えられていたのですが、意外と多種のトリュフが身近な土の中に潜んでいることがわかってきて、愛好家の報告を研究者は待っているのです。近いうちに日本のトリュフの生態が解る日が来る事でしょう。

キノコの種類は、まだよくわかっていなくて、何十万種とも何百万種とも言われています。
実は、食用名になるキノコは大変に少なくて、毒を持ったキノコも多いのです。毒があるかどうかの判別は、食べて見なくてはわかりません。毒は、薄めると薬になる事がしばしばあります。幻覚作用をもたらすマジックマッシュルームの様な物もありますが、人間にとっての有用な薬効をもつキノコもあって、そのほとんどは未発見です。
私たちが食用にしているのは、キノコの形をしているキノコなのですが、傘を作らないキノコが殆どであることが土壌の解析から明らかになってきました。

書名 三枝教授のすばらしき菌類学教室 全3巻
著者 香日ゆら
出版社 ‎ KADOKAWA
発行日 2021/6/7
価格 各巻715円税込み 


   低 い ⇔ 高 い
 難易度  ★ ☆ ☆ ☆ ☆
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更新日 2024/2/6

奇妙で不思議な菌類の世界

 2023年07月09日14:38『ナルナル的菌活書評』 第6号

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 【不思議な菌類を知る絵本】
皆様お待ちかね、待望の絵本が出版されました。こういった絵本が欲しかったのですね。この絵本は小学生の高学年から読めるように漢字も工夫されています。どなたでも読める菌類の入門書です。

幼稚園児でも読むことが出来ますので、お母さんやおじいちゃんでも、お孫さんと一緒に絵本を読んであげて、公園や森の中に菌類を探しに行かれたらどうでしょうか。
菌類の菌糸の束は、地面を数ミリひっかいただけで、見つかりますし、枯れ木の表明にも沢山も白い糸が蜘蛛の巣のように張っているのを見たことがあると思います。おうちに持って帰ってタッパーの中で飼育して見ましょう。枯れ木が餌で、水分のあげ方で成長度合いが変わるようです。

さて、この絵本の中では、世界最大の生物についても紹介されています。世界で最大の動物はシロナガスクジラで、体長30メートル、重さ200トンですが、アメリカのオレゴン州で発見された生物の大きさは、9.5キロ平方メートル、推定重量は400トンとされています。その正体は、オニナラタケというキノコで山一帯の地面の中に菌糸を張り巡らせている事がDNA鑑定で明らかになりました。

   低 い ⇔ 高 い
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書名 奇妙で不思議な菌類の世界
著者 ウェンジア・タン(イラスト) / リン・ボディ(著者) / 白水貴(監訳) / 斉藤 隆央(翻訳)
出版社 ‎ 創元社 、フルカラー64P
発行日 2023/06/02
価格 2,420円(税込)

更新日 2024/2/6

マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険

2023年08月10日08:37『ナルナル的菌活書評』 第7号 マザーツリー

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カナダで森林の保護の研究をしていた彼女は、樹木同士が会話や栄養素の交換をしていることを発見します。今、映画化が進んでおり、世界的な日っととなる事を願っています。生命とは何かという根本的な問が、哲学として感じられる書籍です。

【森の樹木の驚異の生態戦術】
この世の生物の生態は、まだまだ不明で、謎だらけです。深海の生物などは、高性能の潜水艇が開発されてはじめてその生態に近づくことができました。微生物や細胞の世界も高性能の顕微鏡、DNAの高速で低廉価な分析解析器が開発され、知らぜたる生態が次々と明らかになってきました。
『マザーツリー』の著者のスザンヌ・シマードはカナダの森林生態学者で、ちょっと変わった女の子だったようです。
植物を見つけることに生涯を捧げた牧野富太郎は朝ドラで一躍有名になりました。彼は幼い頃から植物が大好きで、野山を駆け巡っては植物の名前を調べました。
シマードはカナダの木こりの家に生まれ、森林の中で生まれ育ちました。家族と一緒に山に入り自然の中で遊ぶ日々で、リスや鹿などの動物、時には熊ともよく遭遇しました。彼女はキノコも好きでした。森の中では多彩なキノコが生えていて、枯れ木にもキノコの菌糸らしいものがあって、それは白や黄色などの多彩な色のものもありました。また、地面の枯葉を覗いた土の中にも同じような菌糸がたくさんあることに気がつきます。
 さらに、菌糸や土の匂いをかいで食べることも好きだったようです。土を食べる少女だったのです。大きくなった彼女は大学の研究員となり森林の中の地下で繋がっているらしいキノコの菌糸(菌根菌)の生態研究を始めます。

 持続可能な森林の樹種の研究も始めます。小さな苗木が大きく育つまで調査し続けるこの仕事は今も行なわれています。何十年も行われる研究です。
 さて、彼女は単一の樹種よりも複数の樹種が混ざった混合林の方が病気が少ないことを発見します。政府の森林局は、この結果についてよく思っていません。これまでの政策が否定されてしまうからです。ですが、彼女はさらに研究をすすめます。本のタイトルにもなっているマザーツリーを発見するのです。それは、森の中の古い大木が森全体に葉の光合成で作った糖分を供給しているということです。

これによって日陰の苗木にも養分が供給されます。
さらに研究は進みます。すると大木は、自分の直接の子孫の苗木に優先して養分を与えていることがわかったのです。驚きですね。どうやって見分けているのでしょう。この著者は有名な映画『アバター』の原案と言われています。

著者を主人公とした本の内容は映画化も進んでいます。
森の神秘を知りたい人にお勧めの本です。
詳細はダイアモンド社のHPにどうぞ
特集ページがあり、翻訳者の三木さんの記事も楽しいですよ。


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書名 マザーツリー 森に隠された「知性」をめぐる冒険
著者 スザンヌ・シマード 三木直子訳
出版社 ダイアモンド社
発行日 2023/1/10
価格 本体 2,200円+税
更新日 2024/2/6

枯木ワンダーランド 枯死木がつなぐ虫・菌・動物と森林生態系― 』

2023年09月17日17:38ナルナル的菌活書評』 第8号 枯木ワンダーランド枯死木がつなぐ虫・菌・動物と森林生態系 
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【林業・里山再生関係者必読!枯木愛に満ちた研究者の関する最高のウンチク研究本】

「枯木(かれき)こそ山の賑わい」
枯木に棲む虫、枯死木を分解する菌、菌を食べるリス……

樹木が枯れて土に還っても続く彼らの営みから、
微生物による木材分解のメカニズム、意思決定ができる菌糸体の知性、林業や森林整備による林床からの枯木除去が生態系に及ぼす影響、倒木更新と菌類の関係、枯木が地球環境の保全に役立つ仕組みまで、身近なのに意外と知らない枯木の自然誌を、最新の研究を交えて軽快な語り口で紹介する。

※以上が出版社の紹介文

微生物による木材分解メカニズム、菌糸体の意思決定能力、森の枯木不足が生態系に及ぼす影響、枯木が炭素貯留に役立つ仕組みまで。日本全国のアカマツ林を巡り歩いたり、リスの食べ残しを舐めてみたり、探究心旺盛な研究者が身近な枯木の自然誌を解き明かす!
枯れて命を終えた樹木は、それで「終わり」ではない。樹皮の表面や幹の中で動物や昆虫を養い、菌類に分解されたのちは土に還るまでの間も炭素を貯留するなど、森林生態系や地球全体に関わる重要な働きを持っている。

本書は、これまで注目されてこなかった枯木を起点に広がるニッチな世界を、動物・植物・菌類・土壌・地球環境といったさまざまな視点から描いた、森の見方が変わる一冊だ。
著者は東北大学大学院農学研究科助教で、専門は森林生態学、微生物生態学、生物多様性生態学。

小学生の頃からコケと変形菌に興味を持ち、長じては大学構内の森で変形菌を探したり、標本を布団乾燥機で乾燥させたり、世界中の研究者に声をかけて6カ国での共同研究を行なったりとバイタリティに溢れた人物で、軽快な語り口で読者を知られざる枯木の世界に誘う。

※以上、アマゾンでの紹介文

小さい頃から自然が大好きだった著者は、いつしか枯木愛に目覚め枯木を取り巻く自然の営みを研究し始める。
木の主成分であるセルロースやリグニンについても褐色腐朽菌・白色腐朽菌について解り易く分解過程を教えてくれる。これまでにない画期的な書籍として私は高評価したい。

林業関係者でも褐色腐朽菌・白色腐朽菌の名を聞いたことが無い方が多いでしょう。この菌の中でも公園でも枯れ木を食べて分解する菌の正体で、ほとんどは担子菌と言ってキノコ類です。キノコの仲間のほとんどは子実体という実を作らずに一生を地面の中や枯れ木に取り付いて暮らしています。その数は100万種とも言われています。名前の付いているキノコはその1割に満たないと言われているのです。この世の中は、宇宙も、海底も、土の中もまだまだ謎に満ちていますね。

優しく描かれた本なので中学生でも読めますよ。
枯木ファンが増えるといいですね。

(出版社の紹介ページがまるで無気力なのが気にななります)

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書名 枯木ワンダーランド
枯死木がつなぐ虫・菌・動物と森林生態系
著者 深澤遊
出版社 築地書館
発行日 2023/6/27
価格 本体 2,400円+税

更新日 2024/2/6

『 もっと菌根の世界 』

2023年10月21日11:01ナルナル的菌活書評9号-もっと菌根の世界 知られざる根圏の パートナーシップ

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【も っと菌根の世界 知られざる根圏のパートナーシップ 】

「 80 パーセント以上の陸上植物は菌根菌という菌類(カビの仲間)と共生している 。 菌根菌が土の中に張り巡らせた菌糸で集めたリンやミネラルを植物に渡し 、植物が光合成で作ったカーボンを菌に渡すというパートナーシップは 、 植物が陸上進出した 4 億5000 万年前から続いていると考えられてい るしかしこの関係は、自分に利益をもたらさない相手には容赦なく制裁を加えたり 、 相手をだますことで「寄生」したりするシビアさももっているのだ 。
次々に版を重ね てい る 『菌根の世界』 につづき 、菌と植物のきってもきれない関係を気鋭の研究者12 名 が 全 10 章とコラムでさまざまな角度から描き出す 。 」
出版社の 紹介文 より 引用。

菌根菌といっても 、 ほとんどの人は知りません。 けれど、 とっても身近な ところに菌根菌は 存在していて、 ほとんどは地面の中で生息しているのですが、地上に顔を出す菌根菌が います。 それが キノコ です。
マツタケ や シメジ ・ シイタケ などです。 これらは菌根菌の仲間でほとんどのキノコ がそうです。

この本の中で特に面白い章があります。
第2 章 地下に 隠れた 菌根性 キノコ ・ トリュフを探る 木下 明彦
『日本 にも トリュフ が あったぞ。 』
この章では、 日本に 生息している トリュフ に ついて詳しく 解説 しています。 トリュフ は 世界 三大珍味 の一つで、 フランス料理の花形で香りを楽しみます。
このトリュフは 土の 中 で ジャガイモのような 塊 を作るので 人目に 付きません。 ですから、 トリュフが生息 していても 掘 ら ない と 見つからないのです。日本の学名は セイヨウショウロ属 といい、 なんと、世界 で発見 された 86 種 の 四分の一に 匹敵する種類のトリュフが存在する事が判明 しました。
 最高級 の シロ トリュフ に 類似した 品種も 日本で 発見されています。 最高級 品は、 ネットで 検索 すると、「 世界一高価な 2300 万円の白トリュフ、香港の晩さん会に 」 という 記事が 見つかりました。 わずか、 750グラム という事 です。 トリュフの 人工栽培の 成功も報告されています。 実用化 には、 まだ 時間が かかりそうですが 、 菌根菌の 生態を 良く知る 事で 、 栽培もやがて 容易 と なるでしょう 。

この書籍 では、 植物栄 と 菌根菌の 関係や ラン 菌など、 農業と かかわりある 事柄も や多く 掲載 されています。 植物 愛好家 にとっては 必読の 書物で ある事は確か です。

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書名  もっと菌根の世界知られざる根圏のパートナーシップ
著者  齋藤雅典[編著]
出版社 築地書館
発行日  2023/9/8
価格 本体 2,700円 +税
更新日 2024/2/6

樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声

2023年11月26日16:09ナルナル的菌活書評10号-樹木たちの知られざる生活

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【愛情あふれる樹木の生態観察目】

ドイツ発、世界で100万部を突破した傑作ネイチャー・ノンフィクション!
最新の科学と長年の観察が明かす木々の驚くべき社会的な営みとは動物のようには動かず、声を出さないため、モノ扱いされることもある樹木。
しかし、樹木には驚くべき能力と社会性があるのだ。子どもを教育し、コミュニケーションを交わし、ときに助け合う。
その一方で熾烈な縄張り争いをもくり広げる。
音に反応し、数をかぞえ、長い時間をかけて移動さえする。ドイツで長年、森林の管理をしてきた著者が、豊かな経験と科学的事実をもとに綴る
樹木への愛に満ちた世界的ベストセラー!
※以上、出版社のホームページから引用

 以前、「マザーツリー」を紹介したが、この本の著者はまた、違った視点から森林を見つめている。
この森はドイツの森である。どうやらドイツの森はとても深くて古い様である。ブナやナラの巨樹は数百年も生きているそうだ。日本の原生林でもお目にかかれないような巨木がある。著者は、その歴史を紐解く。種が落ちて発芽して、どの位の期間で幼木から青年樹となり成木となるのか。その数百年の営みを観察しながら思索し、温かい目で疑問を解く様に解説しながら、紹介していく。
 エッセイ風に短編として綴られているのでとても面白いし、その内容も多岐にわたる。おそらく著者は長年日記のような物をしたためて色々な出来事について思いつくままに書き残していたに違いない。動かない樹木の巧みな戦略も多く紹介されている。畑で野菜を栽培する方にとっても貴重なヒントが満載である。

早川書房公式noteで本書の抜粋記事を公開中
以下のタイトルで検索
「人間の知らないところで、樹木たちは会話をしている? でも、どうやって?」
「樹木たちは見えないところで友情と愛情を育んでいる? しかも親密さで対応まで変わる! ?」
「木が葉っぱを落とすのはトイレのため?! 驚きの冬の過ごし方の数々。」


【著者について】
1964年、ドイツのボンに生まれる。子どもの頃から自然に興味を持ち、大学で林業を専攻する。卒業後、20年以上ラインラント=プファルツ州営林署で働いたのち、フリーランスで森林の管理をはじめる。2015年に出版した本書は全世界で100万部を超えるベストセラーとなった。2016年発表の『動物たちの内なる生活』(早川書房刊)もドイツで27万部を突破し、28カ国で順次刊行されている。

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書名 樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声
著者 ペーター・ヴォールレーベン 、 長谷川圭
出版社 ハヤカワ・ノンフィクション文庫
発行日 2018/11/6
価格 本体 700円+税

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更新日 2024/2/5

『 ずかん 根っこ 』

2024年01月26日16:14ナルナル的菌活書評11号 根っこの図鑑

画像をクリックするとPDFファイルが開きますので、印刷してお使い下さい。
 とても珍しい絵本が出版されました。なんと、根っこの図鑑です。
ぢめんの中の暗闇の世界は私たちにとって、もはやブラックボックスと何らの変わりはありません。なにしろ掘らなければ見えませんし、もっと厄介なのはそこが小さな生き物たちの世界だからです。ミミズだったら見えますが、靴の底の面積だけでそこには100万匹のセンチュウがいると言われています。ましてや、黴や糸状菌の数は億単位以上になります。掘っても掘っても顕微鏡が無ければその存在にすら気づくことが出来ません。

これらの小さな生き物たちは、植物と密接な関係をもっています。
共生関係といって互いに無くてはならない存在として助け合って生きている仲間となっています。

この図鑑で学ぶことは、根っこの真実の姿です。
アマゾンの商品ページでは、実際のページが多数紹介されています。たとえば、この杉の根っこのイラスト描かれたページをご覧ください。



さあ、よく見てください。なにか、自分が思っているのと違うと感じませんか。

杉の樹高は50メートルにもなります。ところが根っ子の深さは2 メートル程なのです。イラストをよく見て下さい。根っこは地表近くで広がっています。
おそらく、ほとんどの人は杉の根っこはもっと深くに伸びていると思っていたのではないでしょうか。

 それもむりはありません。これまで、皆、想像で勝手に根っ子の深さを想像していただけで、誰も掘ったことがなかったからです。手堀りで、根っこを切らなよう何メートルも掘るのは発掘調査と同じ様にとても繊細で神経を使う仕事で時間も費用もかかる大研究なことがお分かりいただけるでしょうか。

小学生でも読める図鑑です。
プロの農家さんが間違った事を覚えていたらおかしいですね。
ご自身の常識を点検するためにもまずは、商品ページをご覧ください。参考イラストが多数掲載されて読めます。必要と思うならお買い求めください。
アマゾンのページへのリンクを貼っておきます。
根っこ
根っこ

著者について
大山 卓爾(おおやま たくじ)
1951年生まれ。農学博士(東京大学)。
新潟大学、東京農業大学に勤務後、現在は、公益財団法人肥料科学研究所の理事長を務める。
過去には日本土壌肥料学会の会長を務めた。専門は植物栄養学、肥料学。
これまでに、主にダイズの窒素固定や施肥についての研究を行っている。
ダイズ関連の論文、書籍以外に、『微生物からのメッセージ―21世紀に活かす道』(産学社エンタプライズ出版部)、『現代農業』(農文協)のコラム執筆にも携わる。

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書名  ずかん 根っこ
出版社 ‎ 技術評論社
発売日‏ ‎ 2023/9/25
価格  2,948円

更新日 2024/2/6

『 樹木が地球を守っている 』

2024年01月27日15:47ナルナル的菌活書評12号 樹木が地球を守っている
画像をクリックするとPDFファイルが開きますので、印刷してお使い下さい。
この本は、書評の10号の著者の続編とも言うべき本であるが、内容はより熾烈になっている。
と、云うのも持続可能な森林として炭素貯蓄槽としての森林を見たときに、世界の森林政策のほぼ全てが、持続不可能な森林政策にしかすぎないことを著者は喝破する。既得権益の保護と名誉のために有識者、業界の重鎮は、著者の言葉を無視しつづけるのだ。

 絶望の中に、僅かな希望を見いだそうと書かれた、世界の森林政策の現状について知る事のできる本である。著者はドイツの森のエキスパートなので、ドイツの森の事が中心に書かれている。私は、ドイツの森について全く無知なものだが、ドイツの森には、手付かずの場合、樹齢数百年の大木があたりまえにあるそうだ。大木が、いかにして森を育んできたかを鋭い観察と深い洞察で、その歴史を紐解く事ができる自然観察学者は世界でも少ないだろう。単に植林すれば森が自然とできるわけではない。気候変動の激しい近年である。数千万年もの樹木の蓄積してきた知恵が森を形作る事を知ることが必要だ。

この書籍から新しい言葉を教えてもらった。

それが、「ホロビオント(holobiont)」である
本のなかから、ホロビオントについて説明している箇所があったので引用する。

=引用始め= (見やすいように改行をしました。)

人間は微生物なしでは生きられないし、微生物も人間なしでは生きられない。科学者はそうした共生関係にある生物を一つの生命体ととらえ、ホロビオント(ホロ=全体、ビオス=生命)と名づけた。

地球上には多数のホロビオントが生息している。こういうと、まるでSF映画のように聞こえるかもしれない。しかし、人間のような100兆個もの細胞からなる多細胞生物は、これまでのような個体として認識されるだけでは、多くの場合、科学的意味をなさなくなってしまった。
 
 ホロビオントという概念を受け入れると、種の多様性という見方すら非常に不十分に思われる。というのも、同じ生物種の中でも、ホロビオントは非常に多種多彩であるからだ。同じホロビオントは一つとして存在しない。

 個々の人間の身体が何千もの微生物種からなる特殊な生態系であるという事実は、多細胞生物すべてに当てはまる可能性が高い。そう考えると、樹木も例外ではないだろう。 ホロビオントという概念は、私たちの森林に対する見方や対応の仕方を根本的に変えるだろう。いや、変えるに「ちがいない」。
* ビオスは、古代ギリシャ語

=引用終わり=


果たしてこのホロビオントという言葉は、著者の仲間内だけの造語かもしれないし、学術的にどのくらい知られているのかネットで検索してみた。ところが、「ホロビオント」を検索しても殆どヒットしない。Wikipediaにも無い。日本国内では、全く知られていない言葉のようだ。

日本語で見つからないときは英語で検索だ。英語版のWikipediaを検索したら見事ヒットした。かなり詳しく掲載されているけど、概略部分のみ翻訳文を掲載する。関心のあるかたは全文を読んでほしい。

【原文と翻訳文】
Holobiont

A holobiont is an assemblage of a host and the many other species living in or around it, which together form a discrete ecological unit through symbiosis,[2] though there is controversy over this discreteness. The components of a holobiont are individual species or bionts, while the combined genome of all bionts is the hologenome. The holobiont concept was initially introduced by the German theoretical biologist Adolf Meyer-Abich in 1943,[3] and then apparently independently by Dr. Lynn Margulis in her 1991 book Symbiosis as a Source of Evolutionary Innovation.[2] The concept has evolved since the original formulations.[4] Holobionts include the host, virome, microbiome, and any other organisms which contribute in some way to the functioning of the whole.[5][6] Well-studied holobionts include reef-building corals and humans.[7][8]

【翻訳の結果】

ホロビオント

ホロビオントは、宿主とその内部または周囲に生息する他の多くの種の集合体であり、共生を通じて個別の生態学的単位を形成します[2]が、この個別性については議論があります。 ホロビオントの構成要素は個々の種またはバイオントですが、すべてのバイオントのゲノムを組み合わせたものがホロゲノムです。 ホロビオントの概念は、最初は 1943 年にドイツの理論生物学者アドルフ マイヤー アビッチによって導入され [3]、その後リン マーグリス博士によって 1991 年の著書『進化的イノベーションの源としての共生』で独自に導入されたものと思われます [2]。 このコンセプトは、元の配合から進化してきました。[4] ホロビオントには、宿主、バイローム、マイクロバイオーム、および全体の機能に何らかの形で寄与するその他の生物が含まれます。[5][6] よく研究されているホロビオントには、造礁サンゴや人間が含まれます。[7][8]

   低 い ⇔ 高 い
 難易度  ★ ★ ★ ★ ★
 活菌度  ★ ★ ★ ★ ★
 面白さ  ★ ★ ★ ★ ★
 新規性  ★ ★ ★ ★ ★
【全ジャンルにおいて高い評価となりました。やや、難しいところもあるでしょうが、里山保全や地球温暖化、環境問題に関わる方にとつては必読書です。本書の中では、「自然」と「野生」の違いについて触れています。あなた自身がこの言葉にどう向き合うかです。】

書名 樹木が地球を守っている
著者 ペーター・ヴォールレーベン (著), 岡本 朋子 (翻訳)
出版社 早川書房
発売日 2023/9/20
価格 2090円(税込)
更新日 2024/2/6

『 風の谷のナウシカ 』

 2024年01月27日18:51ナルナル的菌活書評13号 『風の谷のナウシカ』の原作漫画本
syo1.pdf へのリンク
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漫画は、月刊『アニメージュ』昭和57(1982)年2月号より連載を開始し、映画制作などのため4度の中断期間を挟みながら、平成6(1994)年3月号にて完結した。

巨大産業文明滅亡後1000年、
人類はわずかに残された居住可能な土地に点在していた。
「風の谷」の族長の娘ナウシカは、世界を再生すべく様々な試練に立ち向かい、ついには世界の真実へとたどりついて行く。
一コマ一コマ緻密に描き込まれた絵と人類の生存を巡る普遍的なテーマ。
宮崎駿監督が12年にわたり描き続けた本作は、世代を超えて読み継がれる不朽の名作!


月刊「アニメージュ」に連載され、スタジオジブリ長編アニメーション映画「風の谷のナウシカ」の原作とった、コミックス全7巻のセット。宮崎駿監督の水彩画「トルメキア戦役」で彩った美麗な特製箱入り。
映像化されたストーリーは、このコミックスのおよそ2巻目まで。映画では語られなかったその後の世界や、ナウシカの活躍を知ることができます。

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以上は、出版会社の宣伝文からコピペしたものです。だがだが
、まさかのまさか、ナルナル的活菌書評で「風の谷のナウシカ」を紹介するなぞ、夢にも思っていませんでした。

 きっかけは、まあある偶然から、全7巻セットを読む機会に遭遇したからなのです。

紹介したくなった理由を、漫画の一部のコピーから。
※ 画像はタップすると拡大します。
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そうなのです。粘菌(変形菌)が登場するのです。
この漫画が書かれた昭和57年に粘菌の事を知る人は、今より遥かに少なかったと思われるのに、すでに漫画のストーリーの中に組み込むという先進性を宮崎駿氏は行っていたのです。おそらく日本初の本格的な粘菌漫画です。素晴らしいですね。それだけでも書評として紹介する価値があると言うものです。
粘菌マニアの皆さんでもこれは、周知の事実なのでしょうか。それとも、新発見?

かなり昔にアニメを見たときに、粘菌が出てきた覚えが無いなと思っていたら、アニメになっているのは2 巻までということです。覚えている訳がないですね。

さて、粘菌が出現するという素晴らしいストーリーですが、この辺りの内容については触れません。
この漫画を読んでいて、今、自分が考えている事との重複製があることに気がついたのです。
ナルナル的菌活書評12号 樹木が地球を守っている
http://blog.livedoor.jp/agrikin/archives/2285506.html

この中で紹介している「ホロビオント(holobiont)」の思想が、「風の谷のナウシカ」に見られると気がつきました。この漫画が出来た当時は、ジェームズ・ラブロック博士の地球ガイア理論が公表されていたはずです。この理論は、地球自体を生命を持った生命体だとする理論です。
しかし、漫画のテーマであるだろう異生物種間での表土回復の連携プレーを見ていると、「ホロビオント(holobiont)」に近いと思われるのです。

そして、付録的についている折り込みポスターには、ムシゴヤシの成長が描かれています。
キノコと光合成を行う植物が合体したような生物です。これもキノコや植物の生態をよく知った上で描かれているもので、とりわけ、菌糸の細かい描写などとてもマニアックな出来映えとなっています。

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粘菌、キノコ、菌類のファンのみなさん、もちろん宮崎駿ファンの皆さん。このセットは買いです。大人から子供まで楽しめる作品です。

   低 い ⇔ 高 い
 難易度   ☆ ☆ ☆ ☆
 活菌度  ★ ★ ★ ★ ★
 面白さ  ★ ★ ★ ★ ★
 新規性  ★ ★ ★ ★ ★

書名 風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」 コミック
著者 宮崎 駿

出版社 徳間書店
発売日 2003/10/31
価格  4367円(税込み) 

更新日 2024/2/6

『 超・進化論生命40億年 地球のルールに迫る』

2024年02月09日09:17ナルナル的菌活書評14号 『超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る』
画像をクリックするとPDFファイルが開きますので、印刷してお使い下さい。


 植物の世界は、身近に当たり前に存在していますけど、あまりに当たり前すぎて、その生態の奥深い所は、ほとんど研究されていなかったのです。
 また、植物はとてもおとなしくて従順でもあります。剪定や植え替え、播種など、人間が好き勝手に細工をしても反撃されることもありません。栗の実を採ろうとイガグリに触ったら、鬼太郎の髪の毛みたいに針が飛んで来ることもありません。触るとカブレる草木もありますが、ほとんどの植物は無害と言えるでしょう。ですから、植物は人間の友として、ペットのような存在として庭や室内に居座っています。
 また、植物は大切な食糧源でもあります。この世の動物たちは植物が作る実や葉を食べて生きています。古く西洋では、植物は神が人間のために用意した食料源だという概念が定着しているそうです。人間の下僕が植物という感じです。

 そんな植物ですが、最近になって様々な神秘的な行動を行っていることが明らかになりました。この書評シリーズでお伝えしていますが、原生林は1000年~1万年のスパンで更新再生を繰り返していることが明らかになってきています。森の木々は今を生き延びるだけでなく、1万年後にも生き延びて行く知恵を体得していたのです。人間が誕生してわずかに20万年。植物には3億年以上の英知の蓄積があったのです。人間が、地球が滅びるといって大騒ぎしている気候変動など、日常茶飯事のありふれた出来事でしかないのかもしれません。

(以下略) ブログ本文をご覧ください。放送番組の視聴方法も掲載しました。
 
書名 超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る
著者 NHKスペシャル取材班・ 緑 慎也
出版社  講談社
発売日 2023/3/8
価格  ¥1,980


   低 い ⇔ 高 い
 難易度  ★ ★ ☆ ☆ ☆
 活菌度  ★ ★ ★ ☆ ☆
 面白さ  ★ ★ ★ ★ ★
 新規性  ★ ★ ★ ★ ★
更新日 2024/2/6

植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム 他2冊
2024年02月09日ナルナル的菌活書評15号 植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム

画像をクリックするとPDFファイルが開きますので、印刷してお使い下さい。
書籍の紹介ページから引用
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[いとうせいこう氏推薦! ! ]
自分の好きなものにしか蔓を巻かない蔓性植物はもはや動物である、とベランダ園芸家たる私はかねてから主張してきた。だが、それどころではないと本書は明かす。ハエトリグサがトマトがマメがマツが、人間とは別種の知性で生きているのだ。彼らに私はユーモアさえ感じる。すなわち尊厳を。

 人と違うのは「動かない」ということだけ
植物学の第一人者が初めて明かす驚愕の知的世界。植物は、人間と同じく“予測"し、“学習"し、“記憶"し、仲間どうしで“コミュニケーション"をとっている。つねに鋭い感覚で情報分析し、生き残り戦略を“考えている"のだ。最新研究が突き止めたその真の姿を知れば、畑の野菜も観葉植物も、もう今までと同じ目では見られなくなる。『雑食動物のジレンマ』の著者マイケル・ポーランの序文付き。

動かないで、静的な存在であると思い込んでいた植物。
実は、多彩な生存戦略を持っている事があきらかになりました。
とても面白い本です。
 植物の不思議関係の書物は沢山出版されるようになりました。
どの本もそれなりの新規性はありますが、重複する内容が多いのも事実です。
私としては、最新のトピックスは、従属栄養植物と呼ばれる者たちで光合成をしない植物が多数発見されている事です。また、もっと不思議な、地面の中で花を咲かせる植物も最近発見され発表されました。


   低 い ⇔ 高 い
 難易度 ★ ★ ★ ★ 
 活菌度  ☆ ☆ ☆ ☆
 面白さ ★ ★ ☆ ☆ 
 新規性 ★ ★ ☆ ☆ ☆

今回、下記に3冊の書籍の紹介をさせていただきました。
内容的に世ても似ているものですから、同種類の本としてご紹介いたします。

※※ 菌の活動の紹介はあまり載っていません。悪しからず。
書名 著者 発売日 出版社 価格
植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム ステファノ・マンクーゾ, アレッサンドラ・ヴィオラ, マイケル・ポーラン その他, 翻訳 久保 耕司 2015/11/20 NHK出版 ¥1,980
植物は〈未来〉を知っている―9つの能力から芽生えるテクノロジー革命 ステファノ・マンクーゾ  翻訳 久保 耕司 2018/3/24 NHK出版 ¥2,200
プランタ・サピエンス 知的生命体としての植物 パコ・カルボ, ナタリー・ローレンス ,翻訳 山田 美明 2023/3/29 KADOKAWA ¥2,860

更新日 2024/3/24



《主要参考図書》

※ 旧ホームページ開設当初の図書のため、古い文献もあります。
新しい知見の書籍も多数発刊されてきました。
参考図書も整理したいと思っていますが、基本的な図書ですので、気になった本はお読みください。

ナルナルの栽培科学を書く際に参考にした書籍をご紹介いたします。
以下の書籍の著者・関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

進化について『共生生命体の30億年』 リン・マーギュリス 中村桂子訳 草思社 2000
『カウフマン、生命と宇宙を語る』スチュアート・カウフマン 河野至恩著 2002
『眼の誕生―カンブリア紀大進化の謎を解く』アンドリュー・パーカー著, 渡辺政隆・今西康子 (翻訳) 草思社 2006
『陸上植物の起源と進化』西田誠著 岩波新書 一九七七
『ミクロコスモス-生命と進化』 L・マルグリス、D・セーガン著 田宮信雄訳 東京化学同人1995
『カルシウムと生命』ストルコゥスキー著 松岡芳隆・慶子共訳 白水社クセジュ文庫 一九六八
『塩と生物』 高田英夫著  創元社 一九七四
『元素の事典』 大沼正則編 三省堂 一九八五

環境について

『地球の復活』レスター・ブラウン著 唯是康彦訳 東洋経済新報社(一九八三)
『糞尿と生活文化』 李家正文著 泰流社(一九八七)
『江戸の産業ルネッサンス』 小島慶三著 中公新書(一九八九)
『江戸時代』 大石愼三郎著 中公新書(一九七七)
『気候変動の文明史』 安田喜憲著 NTT出版 2004

土壌と微生物について

『土壌サイエンス入門』三枝 正彦 ・ 木村 眞人 編 文永堂出版 2005年8月
『根の活力と根圏微生物』 小林達治著 農文協
『土壌微生物の基礎知識』 西尾道徳著 農文協 2004
『好塩微生物』 好塩微生物研究会編 医歯薬出版株式会社
『土壌・肥料学の基礎』フォス著 江川友治監訳 養賢堂 一九八一
『有機質肥料と微生物資材』 伊達昇編 農文協 1994
『土と微生物と肥料のはたらき』 山根一郎著 農文協 2006

高橋英一先生の著書 主にケイ酸と肥料

『ケイ酸と作物生産』 日本土壌肥料学会編 博友社 2002
『ケイ酸植物と石灰植物』高橋英一著 (農文協)1987
『ここまでわかった作物栄養のしくみ』高橋英一著 (農文協)1993
『栄養学の窓から眺めた生物の世界』 高橋英一著 (研成社)1997
『根物語』 高橋英一著 (研成社)1994
『作物栄養の基礎知識』高橋英一著 農山漁村文化協会 一九八二
『施肥農業の基礎』高橋英一著 養賢堂 一九八四
『自然の中の植物たち―適応と進化―』高橋英一著 研成社 一九八六
『生命にとって塩とは何か』高橋英一著(農文協) 1987
『生命のなかの「海』と「陸』』高橋英一著 (研成社)2001
『動物と植物はどこがちがうか』高橋英一著 (研成社1989)
『比較植物栄養学』 高橋英一著 (養賢堂)1974
『肥料になった鉱物の物語』 高橋英一著 (研成社)2004
『肥料の来た道帰る道』高橋英一著 (研成社)1991

樹木について

『木のひみつ』京都大学木質科学研究所編 東京書籍 1995

植物栽培について

『植物の無機栄養』ヒュイット・スミス著 鈴木米三・高橋英一共訳 理工学社 一九七九
『発酵肥料で健康菜園』 薄上秀男著 (農文協)1999/08
『日本の自然と農業』 山根一郎著 農山漁村文化協会 一九七四

植物全般 その他

『ファーブル植物記』 日高敏隆・林瑞枝訳 平凡社 1996
『きのこと動物』 相良直彦著 築地書館(一九八九)
『稲作の起源を探る』 藤原広志著 岩波新書 一九九八
『化学生態学』 ハルボーン著 高橋英一共訳(文永堂)1981
『楽しい鉱物学』堀秀道著  草思社 一九九三